2004年9月27日。4年ぶりのイチローとの再会だった。

思い起こせば1999年11月1日。都内某スタジオ。好きだというから、かみさんを買いに走らせた「モスバーガー」のチーズバーガ−を食いながら「お前は絶対に伝説を作る奴だ」と二人で語ったこと。

当時オリックスの本拠地・神戸、独身寮、ロッカールーム、キャンプ地・宮古島と通いつめ、俺なりに撮りたい絵を撮り尽くした。2000年のアリゾナには顔を出したけど、また撮りたくなるまで、しばらくは会わないと決めた。

そして4年――ついにその時が来た。1920年のシスラーの記録、年間257安打のメジャー記録を更新しようとしているお前。やっぱ会いに行くか!

すでにメジャーの有数の偉大な選手となったお前。オークランドくんだりまでノコノコ来たものの、正直、不安だった。俺のことなんて、俺との約束なんて、もう覚えてないんじゃないか?イチローは人格も変わってしまってんじゃないか?

「あっ、ジジさん!どうしたんスか」

俺のくだらない心配をヨソに、お前は昔とひとつも変わらない笑顔をみせた。

「お前、ついに伝説の男になったな。だから会いに来たんだよ。」
「でへへへへぇ〜」

舌を出し、俺を指差しイチローはおどけた。あらためてのぞいたファインダーの中には4年前と同じイチローがいた。顔も、体も変わっちゃいない。最高のパフォーマンスが出せる体は、ヤッパ、あの時すでに手に入れてたんだ。あとはそれを維持し、技と精神を磨くだけ。このモチベーションの高さ。最高だぜ!